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アンチテーゼ 1

イオンの会社の経営は今の所若干忙しすぎる事以外は特に問題もなく進められている。 現代日本のように住所を登記する必要はなさそうだったが 書類のやり取りには当然住所が必要な為、勝手に寮の部屋を事務所として使っているイオンだった。 その所為で寮宛には会社の書類が大量に送られてくるので、遂に寮の管理人はイオン達の部屋の前にポストを設置してくれた。 お前の名前が入っているものは全部ここに投げ込むからな、とやや嫌な顔をされながらだ。 だがイオンにとってはわざわざ管理人に頭を下げる必要も無くなったので便利になったといえばそうなのかも知れない。 寮には大体一週間に一度くらいの割合で生徒達の手紙や荷物届くようになっているので、 郵便が届く日は郵送物の整理に明け暮れるのが日課となりつつあった。 例によって郵送物が届く日だったので、 イオンは放課後に早めに部屋に戻って手紙や書類を整理していた。 銀行や役所からの通知書や、寄付金に関しての問い合わせなどが大半だった。 その中で見慣れない真っ赤な封筒があり、眉を顰める。 宛名の文字もなんだかぐちゃぐちゃでやっと読めるような書き方をされている。 開封してみると、一枚の紙切れが入っていた。 綺麗な便箋ではなく、ノートを乱雑に破ったような紙切れだった。 「え…なにこれ……」 紙切れにはこう書いてある。 “純魔法主義者には、いずれ裁きが下るだろう” 宛名と同じぐちゃぐちゃの文字だった。 内容は意味不明だったが、なんとなく悪意は感じ取れる。 アンチファンレターみたいなものなのだろうか。 どんな内容や志であれ、何か活動をすれば良く思わない人間が必ず出てくるのが世の常というものだ。 新聞や雑誌なんかにも取り上げられてちょっとだけ有名人のようになっているイオンを気に入らないと感じる連中もいるのだろう。

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