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アンチテーゼ 2

「…純魔法主義ってどういう事だろう……」 この世界の思想や派閥はよく分からないが、書き方的に魔法は素晴らしいものとする、みたいな事なのだろうか。 という事は送り主は逆ということになる。 確かに、この世界はどうにも魔法が重要視されているようだし 少年漫画のように魔法の数値が高い人間程重宝されているようでもあった。 しかし魔法を持たない人間も当然ながら存在していて、彼らが奴隷のように扱われているかと言えばそこまで過激ではないはずだったが なんとなく窮屈な思いはしているのかもしれない。 産まれや魔法については自分で設定することは出来ないが、 十家と言うだけでこういうのの標的になったりもするのだろう。 ちょっと気味の悪さは感じるものの仕方ないと割り切る事にして、イオンは封筒に紙切れを戻しておいた。 あまり手元には置いておきたくないし捨てた方がいいだろう、と破棄する書類の方へと分けておく事にする。 「ただいま戻りました…」 背後から声が聞こえて振り返ると、レンシアが部屋に入ってきた。 ジンシーバはよちよちと床を四足歩行で移動している。 「おかえりなさい、レンシアさん…とジンシーバも」 イオンが微笑みかけると、レンシアも微笑みを向けてくれたが その表情はどこか元気がないように思える。 ジンシーバもなんだか機嫌が悪そうに目を細めて、壁際に設置していたカゴの中に入って行ってしまった。 器用に尻尾でカーテンを閉めて引きこもってしまい、 サヴァトーラから貰ったカゴは早速活躍しているようだ。 「ありゃ…ご機嫌斜めね……」 イオンがカーテンの閉じられたカゴに苦笑していると、レンシアもその様子を複雑そうに眺めている。

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