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アンチテーゼ 7
「…あなた以上の人なんているわけないでしょう?」
「それはわかんないじゃん…」
「分かりますよ。
あなたはいつもそうやって俺の事を諦めてくれないでしょう?」
涙で潤んでいる瞳で見つめられると、イオンはやっぱりその瞳にずっと映っていたいと思ってしまうのだ。
そんな風に愛おしそうに、見つめられると尚更。
「そんな人は他にいないもん…」
レンシアはイオンの頬を撫でながら目を細めて顔を近付けてくる。
「…もん…って……可愛すぎだろ……っん」
イオンが惚けていると彼の唇に口を塞がれる。
唇が離れても、彼の顔はすぐそこにあって
必要以上にドキドキしてしまって動けずにいた。
「…それとも、そんな応援をする予定を作る男だと思われているのでしょうか」
「え?いや…そういうつもりじゃ…」
「イオンさんは本当に俺が誰かとどうにかなっても平気なんですか?」
ぼそりとレンシアは少し低い声で呟いて睨んでくる。
イオンは何も言えなくなって呆然と首を横に振ってしまった。
「俺は平気じゃない…あなたが誰かのものになるなんて…、想像すらしたくない…」
睨んでくる瞳は濡れているはずなのに、どこか強さのようなものを感じてしまって
イオンは、お、男の人だぁ〜〜(?)とわけのわからない感想で頭の中がいっぱいになってしまう。
「俺が弱くて…いつも迷ってしまうからですよね…
でも、あなたを愛している事は覆らないから…分かって、ね?」
レンシアに少し頬を抓られ、目の前がチカチカとなるのを感じるイオンだった。
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