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契約じゃなくても 5
「でも…お前には触る気がしないと……、
お…俺もその通りだと思うのです…契約がなければきっとゆ、指一本触れられなかったことでしょう…
だから、イオンさんにも…無理は、させたくないけど……」
精って、精液ですか????
と思うとなんだそのえっちぃ契約はと遺憾に思ってしまうが、
ここがBLゲームの世界ならそんなのも横行していてもおかしくないのかもしれない。
だけどそれ以上に腹の立つ元カレの存在に
イオンは珍しく、なんだあいつ、と不愉快が沸き起こっていた。
「あの贅沢甲斐性無しに何を言われたか知らないけどねぇ…
アタシ…、いや、俺も一緒と思われるのは心外だなあ」
こんな人に迫られて彼奴は涼しい顔をしていたのだろうかと思うと腑が煮え繰り返りそうだったがイオンは勝手に心の中で、バカめ、と思う事にした。
でも実際本当に、バカだと思う。
こんな人の手を離して今更後悔しても遅いぞと。
「レンシアさんは凄く可愛くて綺麗で魅力的で…
俺はいつも本当は…触りたくてたまらなくなってるんですよ?」
レンシアを引き寄せて、彼の手を取って口付けた。
彼は鼻を啜りながらも不安そうな表情をしている。
「そんなに言うんだったら遠慮なく触るけどいいんですね?
がっつきすぎてキモいとか言わないでよ?」
拗らせすぎて保険をかけまくってしまいながら、イオンは服の上からレンシアの身体を撫でた。
「ん…、言わないです…、はやく、イオンさんが欲しいもん…」
あまりにも据え膳すぎてイオンは逆に絶望しそうになりながら、レンシアのシャツのボタンを外していった。
散々目に焼き付けたはずなのに、相変わらず眩しすぎる肉体につい目を細めてしまう。
多分相当にぎこちない手つきだろうけど、首筋に口付けながらシャツを脱がせていく。
レンシアは口元に指先を押し付けていて、睫毛は濡れていた。
泣かせてばかりで申し訳ないなと思ってしまうけど、それがすごく綺麗にも見えてしまって、イオンは彼の瞼に口付け
乱雑に縛ってあった髪を解いてやり、彼を優しくベッドに横たえた。
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