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有限の時の中での無限 1
どうにか急ピッチで行ったレンシアの誕生日会は、色々と複雑な関係であるはずの飛び入りゲストも交えながらも無事に成功を収めた。
とはいえ、酒に、現金に、違法合成の宝石にと
レンシアへのプレゼントは酷いもので、信頼できるのはうちの社員だけだなとイオンは勝手に思っていたのだった。
しかし本人は心底嬉しそうにしていたので、よしとする事にして
彼の笑顔が見れるならなんでもいいのだ、と惚けた頭で考えてしまうイオンだった。
レンシア周りのことで何かとバタついていたイオンだったが、会社のことも色々と考えることが増えてきており、空いた時間ではほとんどの時間を会社の運営などに充てていた。
それ以前に学業わいと言った所だが、テスト前に焦ればいいと楽観的に考えていた。
図らずも人生二周目のイオンは、学校の勉強や成績はもちろん大事だが
いざ社会に出て実戦で役に立つかどうかは、些か疑問である事を身を持って体験したので他の生徒よりかは幾分か余裕のような気がした。
学業よりも部活や社会活動を懸命にやっている方が、面接受けは良い気がしている。
今日は放課後に理事長と少し話をしなければならないし、とイオンはいつも通り洗面台で顔を洗い髪を整えて、鏡で自分の顔をチェックしていた。
顔面の整い具合とかよりも、信頼しても良い人間かどうか判断してもらう為には結局身だしなみと清潔感である。
「…まあいいか……」
どれだけ鏡と睨めっこをしてもエルメーザ達のような明らかに画素数の違う人間には近付けもしないだろう。
だけどあんなに顔面が高クオリティで地位もあるはずなのに、元カレの誕生日にポケットから取り出した現生をじゃらじゃらと渡す最低っぷりは一周回って愉快な気がしてしまって
イオンは思い出し笑いをしてしまった。
レンシアが絶対嫌だと言っていたのには同意してしまうものの、
不器用な彼なりに何かしようとしたのだろう、というのもイオンには感じられて
エルメーザも少しずつ変わろうとしているのかもしれない。
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