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力を持つ者 3

『れんしあ!おわったか!?』 聖堂に置いてあったベンチの一つから、ひょこりとドラゴンが顔を出した。 目をキラキラとさせながら、小さな翼でよたよたと飛行してレンシアの元へとやってきた。 その飛行は実に見ていて危なっかしかったが、ジンシーバは頑張って飛ぼうとしているようだった。 「…完璧な癒しの魔法に、伝説のドラゴン。 まるで“大天使”のようだな」 「……何が仰りたいのですか?」 レンシアは飛び込んできたジンシーバを両手で抱えながら男を睨んだ。 高度な嫌味を言われた所で、レンシアには何も出来なくて毅然とした態度を取っている他ないから。 しかし男は首を傾けた。 「まあそう警戒するな。君をニセモノだと言った無能共を代表して謝罪するよ。 フェディンの薄鈍も後悔しているようだったからな」 謝罪すると言いながらも高慢な言い方に、上級魔法使いは皆こんな感じだったとレンシアは思い出していた。 「後悔……?」 「リウム君も確かに数値は素晴らしいが、あれは私にはどうにも数字が大きいだけで中身がスカスカのように見える。 “大天使”の魂を持つかどうかなど人間には予想する事しか出来ないからな。 だからこそ我々は慎重に判断する必要があるというのに、歴代最高の数値に浮かれた馬鹿共ばかりだ 昨今の魔法使いは脳の足りていない連中ばかりで呆れるよ…」 同僚をディスり散らかしながらも男は備え付けてある木製のベンチの一番前に腰を下ろした。

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