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8位の男 1

地球と同じく太陽系に位置すると思しきこの世界は、昼夜の概念もあるし四季の概念も一応あるらしかった。 だけど日本とは流石に少しズレているらしく、夏は結構短くて秋っぽい気候が長いようだ。 近年は特に蒸し暑い夏場が地獄のように続いていた日本を思うと、どちらかといえば一年中涼しいというのは結構過ごしやすくて良い気がしているイオンだった。 ビジネスの方も思いの外順調で、僅かだがイヴィト達にもお給金を渡せるようにもなってきたし 外部で人を雇えないかというのも考え始めている所だった。 とはいえ今は通常業務に加え、学業の隙間で部活のように商品開発をしたりしている日々である。 「“反魔法主義”のテロ未遂か…どうにも最近は物騒らしいな」 いつものようにイオン達が食堂の元村八分席で作業をしていると、ローラがやってきて手伝うでもなくイオンの隣で新聞を広げている。 ローラは普段は見た目には全く気を遣っていないものの、眼鏡を外せば妖艶お兄さんになる推されがちな人間だが行動の基本はどうにもおっさんみが拭えない。 靴を脱ぎ散らかして椅子の上に片足を乗せ、机に肘を付きながら超至近距離で新聞を見ている様は行儀のカケラも無かったが イヴィトはもう注意するのを諦めているようだった。 「…反魔法主義かぁ…なんか脅迫文みたいなの送られてきたことあるな…」 「き…き、脅迫ですか…?」 「うーん…なんか、純魔法主義に制裁を!みたいな感じだったような」 以前に送り付けられていたアンチらしく存在からの手紙はもう破棄してしまったのでうろ覚えだったが、あまり良い雰囲気では無かったのをイオンは思い出していた。 「魔法使いは国民の4割程度だからな。 魔法を持たない人間の中には、魔法使い優位な法律や社会システムが気に食わない奴も多いんだろ 十家なんてまさに格好の的だ」 「好きで産まれたわけじゃないんだけどね…」 イオンは他の貴族達からも親ガチャ成功者だからと思われていそうだったが、十家というだけで好き勝手に言われていたりするので考えものである。

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