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8位の男 3
「便利…か、考えたこともあらへんやったな…」
などと呑気に呟いている魔法使いを見る限りでは、楽をしたいという欲がなくて発展を止めているのだろうかとすら思ってしまう。
というよりも個人個人で能力を磨いて、それを広めようとかみんなも使えるようにしようみたいな発想があまり無いのかもしれない。
「電話も毎回あんな力使って暗号みたいな…」
「お前のところだって電話くらいあるんだろう?」
「ウチの電話はね声でこうやって喋れるの。顔見ながらだって喋れんだから」
「降霊の類か?生き霊呼びみたいな?」
この世界の人間は携帯電話やAIの存在を知ったら腰を抜かすんだろうなと思いながらも、イオンは便利な現代日本への想いはこれくらいにして
この不便だかなんだか分からない世界で懸命にやっていく他ないなと思うのだった。
ため息を吐きながら明日必要な資料を整えていると、目の前にいたヴェネッタがフードを深く被って不審者のように怪しい動きをし始める。
「れれれ、レンシア様……!」
「皆さんまだ作業してらしたのですね」
「ごき〜」
「ごき〜」
肩にドラゴンを乗せてレンシアが現れており、イオンはついぼけっと口を開けて彼を見上げてしまった。
ローラと謎の挨拶を交わしながら微笑んでるレンシアはいつ見てもちょっと発光しているように見えてしまうのである。
「わ…もうそんな時間なんや。通りでお腹が空いとるわけやなー」
「き、今日も非常に美しくビューティフルでいらっしゃり…!」
「わかる&理解出来る」
「全部意味一緒なんよなぁ」
レンシアを前にするとIQが4くらいになる2人にイヴィトは息を吸うようにツッコミを入れている。
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