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利用 1

ジンシーバの定期検診のため、ドラゴン保存協会の施設に行く日になった。 手が空いている時はイオンも付き添ってくれるが、今日は新規の資金援助候補者と面談があるらしい。 レンシアは別に何度か1人で訪れていたので平気ではあったが、 別の街に用事があるとの事でローラも一緒に行ってくれる事になった。 学園での授業が終わり、2人と1匹で汽車に乗って施設まで向かった。 許可などを貰った場所とは別で、もう少し郊外の方にある大きな建物だった。 ジンシーバの状態は頗る健康という事だった。 意思疎通も拙い言葉ながらよく行なっているし、他の生徒にも割と懐いていると伝えると、研究者達は驚いていて 色々なデータを取られるのに少し時間がかかってしまった。 街で用事を済ませていたというローラと合流して学園の最寄駅に戻って来た頃には、すっかり日も落ちてしまっていた。 「ごめんなさいローラさん…遅くなってしまって…」 「別に構わんよ。俺も予想外に時間が掛かってしまったからな。 それに外を歩くなら夜の方が好きだ」 ローラは意味不明な事を言いながらローブのポケットに手を突っ込んでちょっと猫背に歩いている。 レンシアは色々な検査をされ身体を弄くり回されて疲れて眠ってしまったジンシーバを抱え、 ローラと一緒に学園へ戻るレンガの道を進んでいた。 「全くおかしな世の中だな。預言者や占い師への就職率は極めて低い。 …まあ詐欺師紛いの非生産的な仕事の代表だからな。 だが需要は増す一方なんだそうだぞ?おかげで預言者協会はてんやわんやだ」 「預言を求める方が多いという事ですか?」 「そうなるな。 昨今の国勢状況はあまり良いとは言えない。 軍の動きや国営の状況を鑑みて戦争を準備しているのではという噂も立っているし 国内の問題も絶えない。反魔法主義の大規模テロ未遂もあったばかりだしな… 関連しているかどうかは分からないが皇帝家付きの上級魔法使いが数名行方不明という話だ」 皇帝家付きの上級魔法使い、昨日レンシアの元へ訪れた男もそうだった。 彼は確か皇帝家が不穏な動きをしていると言っていた気がする。 それが戦争、なのだろうかとレンシアは少々憂鬱になってしまうのだった。

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