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「占いやセラピーや宗教が流行るのはこういう景気が傾きかけている時だ。
人の心を救おうというというのに人の不幸が飯の種なんて皮肉が効いてるよな」
ローラはそう言いながらニヤニヤと笑っている。
「では…ローラさんは大預言者に…?」
「人をからかうのは嫌いじゃないが、説明を省いて確率の世界で一喜一憂させるのは性に合わない。
不健康そうな顔で明日が不安だと言われたら俺は日光を浴びてジョギングでもしろとアドバイスしたくなるからな」
彼はいつも辛辣でぶっきらぼうな口調だったが、不思議と嫌な響きはしていない。
寧ろどこか葛藤しているような、レンシアにはそんな風に見えることもあった。
「……見えすぎるってのも考えものだ。
判っていたってどうにもならない事の方が多い」
ローラは空を見上げながらぽつりと呟いた。
分厚い眼鏡の隙間から見える彼の紺色の瞳は、星空のように輝いていた。
「俺のことより自分はどうなんだ?」
「え…?俺ですか?」
「ひひ。イオンはガチだぞ〜手を切りたいなら早くしておけ」
「手を切るだなんて…そんな事しません」
「どーだか。家柄と身長だけが取り柄のランキング8位男だからなぁ」
「もっと良いところはいっぱいありますもん…
それに俺の方が飽きられないか心配なくらいで…」
「いや…ないだろそれは…」
レンシアはため息を溢しながら、すやすやと眠っているジンシーバを見下ろした。
イオンは真っ直ぐで優しくて、誰がどう見ても素敵な人ではあるけど
レンシアにとって不思議に思えるような部分もあった。
ヘラヘラしているようで妙に達観しているような所とか、いつも敬ってくれるけれど時々到底届かないような人のようにも思えてしまう。
勿論身分を考えればその通りなのだけれど、
なんだか、エルメーザともまた違ったベクトルでそう思えてしまうのだ。
そしてそれが怖いとか不安とかそう言ったものよりも、何かとても大きな存在のような感覚で
それはドラゴンや、いつも祈っているような神にも近いような。
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