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利用 3

「…はぁ。なんだ、盾になるために寄越されたのか」 ローラは突然立ち止まるとため息を溢した。 顔をあげるとフードを深く被った人物達が行手を塞いでいる。 驚き後ろを振り返ると、背後にも同じような格好の人間達が立っている。 どうやら囲まれているようだ。 「金色の髪に紫色の瞳…そしてドラゴン、“レンシア”に間違いないな」 「あなた達は…?俺に何のご用ですか?」 低い声で誰かが呟いたが、フードで顔が見えないので誰が喋ったのかは分からない。 ローラはレンシアの前に歩み出る。 「ここはハートン学園の敷地内だ。 部外者は許可が無ければ立ち入りは禁じられているはずだが」 「許可だの法律だのはお前ら魔法使いが勝手に組み敷いたものだ 従う義理はない」 「何…?」 不穏な気配が漂い始め、まずいと思った時には男達が迫っていた。 男達の手には棍棒のようなものがあり、こちらに向けて容赦なく殴りかかってくる。 ローラは避け、1人の男から棒を奪い取ったが数人がかりで襲われ始めている。 「ローラさん…!」 「レンしぃ!逃げろ!」 応戦しながらもローラは叫んだ。 そんなわけにもいかずにレンシアが仕方なく光の魔法を発動しようとした時、足元に何かがぶつかったように転ばされたが 身体は空中へと浮かび始める。 そして首のあたりに何か圧力がかかり始める。 「…っ、あ…」 苦しさにもがきたかったが、段々と意識が薄れていって レンシアはぽとりとドラゴンを地面に落としてしまった。 「レンしぃ!!!」 ローラの叫び声が遠くに聞こえている。 霞んでいく視界の中、起き上がって不安げな顔をしているドラゴンに目を向けた。 「逃げ…て……」

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