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余地のないこと 2
「……ここは恐らく学園内だな……
東棟の裏の…小屋だろう…藪の中にあって…老朽化しているからあまり使われていないし人気もない…」
ローラの眼鏡にはヒビが入っていて、手酷く扱われた事が伺える。
「ジンシーバさん…ごめんね怖い目に遭わせてしまって…」
ジンシーバは暴れ狂っており、レンシアはどうにか首をそちらに向けながら落ち着かせるように語りかける。
ドラゴンは轡の向こうで切なげな鳴き声を溢している。
「俺達が居ないことにはすぐ気付くはずです…
きっと探してくれているでしょう…」
「そうだといいがなぁ…」
喋っていると小屋のドアが開いた。
ギィと古めかしい音を立てていて、向こう側からは光が溢れてくる。
しかしそれとは対照的な4、5人の男達が小屋の中に入ってきた。
昨日と同じようにフードを根深く被った怪しい風体で、手には棍棒のようなものを携えている者もいた。
「目が覚めたか…騒ぐんじゃないぞ」
「…俺たちをどうする気ですか?」
「お前の復讐に協力してやる」
「……協力ですって…?こんな所に閉じ込めておいて…?
ローラさんは無関係でしょう!?」
「黙れ!」
レンシアは男達を睨み付けた。
「いいか?これは遊びじゃない…“大義”のある戦いだ」
「お前らの言う大義は魔法使いを殺すことか?
ただの差別と殺戮だろうが」
「差別をしているのはお前ら魔法使いの方だろ…!
俺たち平民は魔法使いサマに使い捨てされるだけの家畜も同然だ…!」
どうやら男達は“反魔法主義”の人間らしい。
時代錯誤な武器が物語っているが、勿論殴られれば無事では済まないだろう。
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