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恋人は殺人犯? 1

一体何が起きたというのだろう。 イオンはただ呆然と、学園から離れていく馬車の背中を見送っていた。 「レンシアさん……」 昨夜、ドラゴン保存協会の施設へ、ジンシーバの定期検査に出かけたはずのレンシアがいつまで経っても帰って来なくて 丁度イオンが痺れを切らして探しに行こうとした時、ドアの隙間から手紙が投げ込まれているのを発見した。 内容は簡潔に、 今日は帰れないけど心配しないで欲しい、という旨だった。 本当か?と思ったが、他に連絡手段もなくイオンは仕方なくそれを信じて大人しく待っていることにした。 今思うとそれが間違いだったのかもしれない。 翌朝、やっぱりレンシアは帰っていないようで午前中の授業もサボっているようだった。 一緒にいたはずのローラに聞けば何か分かるかと彼を探したが、 彼と同室の生徒曰くローラも似たような感じで戻って来ていない事が判明した。 これは何かがおかしい、と誰かに相談する算段をつけていた矢先に 廊下を蒼白した様子で歩いているレンシアの姿を発見した。 レンシアは泣き出しそうに震えながらも、どこか冷たくイオンをあしらって去って行ってしまった。 だけどすれ違う瞬間に、頭の中にテレパシーのように彼の声が飛び込んできたのだ。 それが疎通の魔法だと気付いた頃には、レンシアの姿は無くなっていて イオンはその内容を元にすぐさま理事長を捕まえて事情を話した。 自分でも信じ難いような内容だったが、レンシアが嘘をつく訳もなくて。 理事長は怪訝そうな顔をしながらも一応対処に動いてくれた。 警備員と理事長と共にイオンは東棟の裏の小屋へと向かった。 小屋の中には檻に入れられたジンシーバと血溜まりに沈んでいるローラの姿があったのだ。 ローラはすぐさま医務室に運び込まれた。 しかし学園に戻ってくると、別の騒ぎが起きていた。 レンシアが、エルメーザを殺したと。 イオンは人混みを掻き分け、ようやくレンシアの姿を見つけたが それは手錠を掛けられて、警察に連れて行かれる背中だった。

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