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恋人は殺人犯? 2

医務室のベッドの上で幾つもの点滴に繋がれ、白い顔を晒しているローラの寝顔を見ながら イオンはぼうっとジンシーバを抱えていた。 檻に放り込まれ轡を嵌められていたドラゴンはすっかり怯え切っていて、ガタガタ震えながらイオンの服の中に入り込もうとするので 仕方なくイオンはジャケットで彼を包んでいつもレンシアがしているように抱き締めているのだ。 「イオン…!」 声をかけられて、イオンは顔をあげる。 イヴィトだった。 「レンシー…殺人未遂の容疑で逮捕って…一体どうなっとるんやろな… ヴェネッタ先輩もそんなはずはないってずっと泣いとって… ローラも死にかけて…エルメーザくんも緊急搬送されちゃって…」 考えたいけど、何だか頭も心も重くて思考が上手く働かない。 イオンはドラゴンを抱き締めながら、俯いた。 「わからない……レンシアさんが……レンシア、さん…」 その名前を呟く度に、じわじわと視界が滲んでいく。 何が起きたのか何も分からない。 ただ分かることは、レンシアは容疑者となってしまい拘束されてしまったと言うことだった。 「俺…どうしよう……? このまま一生レンシアさんに会えないの…かな……」 「イオン……」 「どうしようぅ………っ」 イオンが遂に両手を覆って泣き始めると、イヴィトが隣へやって来て肩を撫でてくれた。

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