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ドラゴンと魔法使い 1
余命宣告をされた時よりも、
いざ死ぬという時よりも、
もしかすると悲しくて辛くて苦しいかもしれない。
イオンはベッドに横たわったものの結局一睡もできなかった。
ドラゴンは真逆で、ずっと死んだように眠っている。
『ジンシーバさんのこと、頼みます』
レンシアの言葉を聞いたのはそれが最後だった。
なのでイオンは、重たい心を引き摺りながらも死んだような顔を晒して早朝に別棟へと向かった。
ノックしたドアの向こうには驚いたような顔のサヴァトーラがいて、だけど彼はイオンの様子を見ると部屋へと招き入れてくれた。
「……大変だったな…」
「…ジンシーバがずっと動かなくて……」
「盟約の所為だろうな。特殊な守護の魔法がかかっていると言っただろう?
一定の距離離れると、お互いに何らかの影響が出始める…」
サヴァトーラはまだパジャマ姿でネルシャに関しては蛇のようにとぐろを巻いてベッドの上で眠っている。
「あまりにも長期間離れているとドラゴンは石に戻り、盟約を交わした魔法使いを待つとも言われているな…」
「石に……、長期間ってどれぐらいでしょうか…」
「盟約の内容にもよるが…1ヶ月くらいだろうか…
その子はまだ産まれたてだからもっと短いかもしれないな…」
ジンシーバは早速石になろうとしているのだろうか。
イオンは膝の上で眠っているドラゴンの背を撫でた。
いつものように紫色のリボンを首につけてあげたけど、レンシアほど綺麗に結べてはいない。
「魔法使いの方にも影響が出ているはずだ。
倦怠感や焦燥感といった所かな…或いは魔法が制限されたりもする。
…だが拘束されているのであればドラゴンを近付ける事は出来ないだろうな…
上級魔法使いであれば盟約を無理矢理解消させる事も出来るが…本人達の意志が無ければかなりリスクを負う事にはなる…」
早朝に押しかけたのにも関わらずサヴァトーラは丁寧に説明をしてくれて、イオンはぼうっとなる頭でどうにか知識を詰め込んでいった。
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