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ドラゴンと魔法使い 3
サヴァトーラの部屋を後にし、イオンは食堂へと向かった。
早朝の食堂は人も疎らだった。
全然食欲が湧かなくて、食事を前に座っているだけの時間になってしまう。
「……お前も食べたくない?」
ジンシーバは起きているようだったが、ちらりとこちらを見上げただけですぐに目を伏せてしまった。
「…わかる…」
イオンは膝の上のドラゴンを撫でながらため息を溢した。
しっかりしなきゃと思うけど、どうにも全てが重たく感じてしまう。
味のしない食事を義務感だけで詰め込みながら、レンシアはちゃんと食べているだろうかなどと考える。
牢に入っているであろう彼のことを思うと泣きそうになって、
イオンは1人で首を横に振って考えないようにした。
「…イオン!おはよう…」
後ろから声をかけられて顔を上げると、イヴィトだった。
彼はイオンの酷い顔を見ると苦笑している。
「……あんまり寝られとらんみたいやな…、無理もないか…」
イヴィトは向かいに座る。
「…さっきサヴァトーラ先輩の所に行ってきたんだ……
レンシアさんとこのまま離れたままだとジンシーバは石に戻るかもしれないって…」
「そっか…」
イヴィトは頷きながらも、心配そうな視線をドラゴンに送った。
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