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ドラゴンと魔法使い 5

そこには真っ赤になっている眼でこちらを睨んでくるリウムの姿があった。 「リウム……」 「エルメーザは無事だよ…ただ睡眠薬で寝てただけ… でも…“暗殺未遂”には変わらない… 薬で眠らせてナイフで刺し殺そうとした、とか なんとでも言えるからね…!」 リウムは怒ったように言いながら机に叩きつけた手を握り締めている。 「こうならないようにしてたのに……っ」 彼は何故か悔しそうに眼を細めていて、イオンは重たい心のまま俯いた。 「……エルメーザくんが無事で良かった… やっぱり…レンシアさんは誰も殺していなかった……」 それは喜ばしい事だったけど、心の底からは喜べなくてイオンは力無く笑った。 「ローラが目を覚ませば何か知っているかもしれん… 自分を刺したんはレンシーやないって証言してもらえるかも」 「…サンちゃんはどこに?」 「医務室で寝とるはず…、あ、リウム…!」 リウムは走り出してしまって、イヴィトは慌てて立ち上がった。 2人は顔を見合わせ、仕方なく彼を追いかけるのだった。

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