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目撃者 3
「もー。昨日彼は死にかけてたんだぞぉ?
枕元でどんちゃん騒ぎなんかしたらおかしくなるに決まってるでしょぉ」
医務員に怒られながらも、イオン達3人は片付けと掃除をさせられており
ローラは隣のベッドに移されて、大きな枕に凭れるようにしてバケツを抱えて座っている。
「どんちゃん騒ぎはしてません!大騒ぎくらい!」
「騒いじゃダメなんだってばぁ…」
リウムの謎の言い訳に医務員はため息を溢している。
「出血多量だし刺されたショックもあるんだから
目が覚めたからって安静にしてなきゃダメだよぉ?いい?
君たちも、それが済んだらすぐに授業に戻りなさいね!」
アニーフは怒りながらも、汚れたシーツやらを持ってどこかに行ってしまった。
「…確かに足もクソ痛いが…
何だか酷く低品質な記憶魔法が混入していて最悪の気分なんだ…」
ローラは相変わらずどこか青い顔をして、片手で頭を抑えている。
「本当にレンシアさんの事覚えてないの?ローラ…」
「うーむ……」
彼がそんな風に悩んでいるのは珍しい気がして、イオンはローラがレンシアの事を忘れてしまった事以上に心身の状態が心配になってしまう。
「今のサンちゃんに証言をさせたら先輩がますます悪くなっちゃうじゃん…!」
「そうかもしれんね…」
「もう!役立たず!」
リウムは怒りながらも医務室を出て行ってしまって、イヴィトとイオンは顔を見合わせてため息を溢した。
彼は焦っているのかもしれないが、怪我人に向かって役立たずは言い過ぎな気がして。
「はぁ…そのようだな……」
しかしローラも何故かそれを受け入れており、普段の彼なら憤慨していそうだったのに、と思うとイオンはますます心配になってしまうのだった。
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