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狂信者たち 3
面会室へ行くと、レンシアは格子の向こうにいた人間に思わず目を見開いてしまう。
格子に張り付くように立っていたのは銀色の長い髪の眼鏡の男だった。
「ヴェネッタさん…!?」
「れ、れんしあさまぁ…捕まっていてもなんたる美しさで……」
ヴェネッタはいつもよりも数倍元気のない掠れた声で呟いている。
レンシアは仕方なく格子の前に用意されている粗末な椅子に腰を下ろした。
彼の隣には見覚えのない男がいて、何故か床に跪いている。
「お、おおお、お初にお目にかかります!!
小生!エカルティと申します!!非魔法人の若輩者ながらしがない弁護士をやらせていただいておりまする!!」
「では…あなたが名乗り出てくださったのですか…?」
「は!!!トップオブ会員であるヴェネッタ殿の御助言もあり小生のような者でもレンシア様のお役に立てればと…!」
その喋り方は非常に既視感があり、レンシアは思わず苦笑してしまう。
「せ…世間ではレンシア様を悪く言う声ばかりで…“B.E.R”でも脱退するような不届な輩も出ている始末なんです…
で、でも自分は信じていませんから…っ!レンシア様がそんな事するわけない…!そうですよね…!?」
ヴェネッタは格子を掴んで訴えかけてくる。
眼鏡の向こうの眼は泣き腫らして赤くなっていた。
「……ありがとう…ヴェネッタさん…こんな俺のことをまだ信じてくださっていて…」
「なな何を言うんですか!!!一生信じるに決まっているじゃないですか!!」
「その通りですぞ!!小生は例えレンシアたそが誰と結婚しようとも担降りする事なく家族毎箱推ししようと誓って…」
恐らく“B.E.R”会員でありそうな弁護士の男、エカルティは床にへばり付いたまま訴えてくる。
この狂信者達には申し訳ないやら、少し救われるような、複雑な気分になってしまうレンシアだった。
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