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僕らが出来る事 1
「思い出したぞ」
昼休みにローラの元を訪れたイオンだったが、彼はベッドの上で腕を組み何故かふんぞり返っていた。
その不遜な態度はいつものローラに戻ったようで喜ばしさもあったが、イオンは苦笑してしまう。
「……ほんとに?」
「ああ…東棟の裏の例の小屋に行ってきた」
「例のって…どうやって?歩けないでしょ?」
「ウィリンスの奴が暇そうだったからな」
「まさか…理事長に運ばせたの?」
ローラは相変わらず理事長を顎で使っているようで、何故か理事長もそれに従っているという謎の関係である。
まさかお姫様抱っことかで運んで貰ったのだろうかと想像するとイオンは変な顔になってしまうのだった。
「奴らめ、やはり低クオリティな記憶改竄魔法をかけてやがった。
この俺が随分と安く見られたもんだなァ?」
ローラは憤慨しているようだったが、イオンには記憶改改竄魔法がよくわからず
あまり回らない思考でなんとなく考えてしまう。
つまり、記憶を書き換えられた、という事なのだろうか。
「…レンシアさんのこと思い出せたんならよかったけど…」
「あいつらはどうやらハナからレンしぃを犯人に仕立て上げるつもりだったんだろう。
俺までそれに使われるなんて。舐めやがって」
ローラはベッドの上に放り出されていた新聞を拳で殴り付けている。
確か、イヴィトが要約してくれた内容曰くローラもレンシアに刺された事になっているようだった。
だけど、ローラのレンシアに対する変なあだ名が戻ってきていて
イオンはそんな事でも心底ほっとしてしまって、ベッドサイドに置いてあった椅子に腰を下ろした。
目を覚ましているもののどこかボーッとしているようなドラゴンをベッドに上げてやると、ドラゴンは丸くなり始める。
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