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僕らが出来る事 2
「レンシアさんは……無実だよね…?」
「当たり前だ。俺を刺しやがったのは“反魔法主義”の連中だ
それも過激なテロ組織だ!」
「…“反魔法主義”……?」
「あいつらは皇帝家への反逆と同時にレンしぃへの処刑を起こそうとしてる…
魔法使いを同士討ちさせてその隙に革命を進めるか…或いは世間への不信感を煽って歩兵を増やすつもりかもしれない」
いつも通り饒舌に考察を語ってくれるローラは、本調子に戻ってきているのかもしれない。
しかし、やはりレンシアは政治的なものに巻き込まれて利用されたのだろう。
「俺たちが襲われたのは学園の敷地内で、だ。
ウィリンスのアホも叱っておいたぞ。学園内に共謀者が潜伏していた可能性もある」
「…やっぱり、あの手紙を寄越したのもレンシアさんじゃなかったんだ…」
「手紙?」
「あの日の夜…今日は帰れないけど心配するなって…部屋に投げ込まれてたんだ…
俺が鵜呑みにせずにちゃんと探していれば……」
イオンは膝の上に乗せた拳を握り締めた。後悔で血を吐きそうだった。
「相手は複数人だった…魔法使いもいたしな。
お前1人で乗り込んできても捕まってダシにされていただけだ」
「でも……」
「いいかイオン、まずはこれから何を出来るかを考えろ
後悔するのはその後だ。まだ終わっちゃいない」
ローラに指を指されて、イオンは唇を噛みながら頷いた。
今は嘆くよりも、レンシアの為に出来ることを模索するのが先決で
だけどイオンは、極刑に向かう彼の運命を前にとても太刀打ちできなくて心が折れてしまいそうになるのだった。
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