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僕らが出来る事 6
イオンはまたどうすればいいかわからなくなってしまい、不安げにこちらを見上げてくるドラゴンを見下ろした。
「イオン…大丈夫…?」
イヴィトが心配そうに呼んでくれたが、イオンは顔を上げることが出来なかった。
「……レンシアさんは…きっと覚悟して自分で決めたんだと思う……
俺は…言ったんだ…レンシアさんが決めたことを…ぉ…応援するって…
でも…こんな事なら……
俺のこと裏切ってくれれば良かったのにとか思っちゃうよね…」
あの気持ちに偽りはなかったけど、こんな事になるとは思わなかったのだ。
ぽたぽたと涙が溢れてしまってドラゴンの上に落ちていってしまう。
「……なんで…そんなにかっこいいんだろ……
そういう所が…好き…、なんだけどさ…ぁ…」
レンシアの行いは、運命に翻弄されながらもありえないくらい彼らしくて、格好良くて。
イオンは溢れる涙を止められなくなってしまっていた。
「イオン殿……」
「え?あのぅ…この御仁は…?もしかしてそういう?」
「空気読めよお前」
「ええええ…!?!本当に!?!?」
オタクが騒いでいる声を聞きながら、イオンはレンシアが覚悟をしたのならば自分もそうしなくてはと思い直した。
いつまでもウジウジしていてはいけないのだ。
『……いおん…?』
ジンシーバがぺたぺたと前足でイオンの胸を押してくる。
イオンは涙を乱雑に拭ってドラゴンを抱き締めた。
「……俺…1人でも……この子を育てる…
…レンシアさんに託されたんだから……」
「未婚なのにシングルファーザーが爆誕してしもうた…」
「レンしぃを勝手に殺すな?」
いつもの如くツッコまれながらもイオンは弁護士へと顔を向けた。
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