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僕らが出来る事 8

「イオン殿!!レンシア様は…、じ、自分なんかにイオン殿のことをこれからも助けてあげてほしいと…ひ、膝をついて…!仰られたのです…!」 「え…、レンシアさんが……?」 「…レンシア様は…、じ…自分の事を忘れるよう伝えてと仰られました……」 「……」 「じ、自分はレンシア様に頼まれなくたってイオン殿には大恩がありますからできる事は…っ何でも致します……! でも……っ、レンシア様の優しさをわかっていても自分は… イオン殿がレンシア様を忘れてしまわれて…ほ…他の…誰かとなんて……っ」 床に額を付け泣いているような声を出しているヴェネッタに、イオンは鼻を啜りながらふらふらと椅子から降りて床に崩れ落ちた。 「分かってるよ…。 俺は…何があってもずっとレンシアさんのこと好きだし…、信じているし…待ち続けるよ… 忘れるなんて…出来るわけがない……」 35年と18年も待っていたようなものなのである。 数年足されたって自分はどうということはないのだ、とイオンは頷いた。 イオンが泣きながら微笑むと、ヴェネッタは顔を上げる。 「…イオン殿……」 ちょっとズレている眼鏡の向こうの眼は泣き濡れていた。 彼はきっと朝から動き回って弁護士に見繕ってくれたのだろう。 「ありがとうヴェネッタ先輩…レンシアさんのこと信じてくれて…俺にまで… レンシアさんが戻ってくるまで…一緒に待ってくれたら嬉しい…です」 イオンがつい手を差し出すと、ヴェネッタはイヴィトに子猫のように抱え上げられてしまった。 「早速浮気は擁護できんのォ」 「いやいや違う違う違う…同志だったじゃんどう見ても…」 「俺はイオンの事もレンシーの事も助けたいし…ずっと友達でいたいって気持ちは何があっても変わらへん。 でもレンシーは、きっとみんなに無茶して欲しくないと思っとる。 だから俺は君達が暴走するのを止めるのが役割や思うとるよ。 イオンも1人で無理しすぎないことや。ええな?」 「イヴィト…」

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