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審判の時 2
「静粛に!!」
裁判長が現れ、裁判は静かに始まったが
部屋の中を漂う空気はざわつき、息を呑み、事の行く末を1秒でも見逃さないぞというようなものに包まれていた。
検察側から、同級生のローラを刺した殺人未遂、そしてエルメーザに睡眠薬を盛って殺害しようとした暗殺未遂と皇帝家を手にかけようとした国家反逆及び国家転覆罪という信じられないくらい重い罪状が読み上げられ
当日の現場の状況や、レンシアの行動などが報告された。
それを聞きながらもレンシアは、なるべく心を乱さないようにと努めていた。
「では、証人を入廷させます」
検察側に呼ばれ、松葉杖をつきながらやって来たのはローラだった。
いつもの長いローブ姿で見え辛いが結構酷い怪我なのだろう。
立っているだけでふらふらしているので急遽椅子が用意された。
「証人、名前と職業を」
「…サンイヴン・ローラ。
ハートン学園の1年生でーす」
「被告人レンシアとは同じクラスでありご学友という事で間違いないかな?」
「……まあ、そうね」
「事件当日…11時半頃まで君は被告人と一緒にいた。
犯行が行われたのは12時過ぎと推定されている為…君が最後の接触者という事になる。
しかし君は、犯行時間とほぼ同時刻にハートン学園理事長含めた学園の人間に学園の外れにある小屋で倒れているところを発見された。
理事長のハートン・ウィリンス氏によれば、足にナイフが刺さったまま血溜まりの中に沈んでいた…と。
発見が遅れれば出血多量で死に至る所だった、間違いないね?」
「そうらしいな」
検察側が話し始めると、人々はざわついている。
「小屋はほとんど誰も寄り付かないような場所にあるそうだ。
君を刺す事が出来たのは1人しかいない。
君は被告人の計画を知り彼を止めようと問答した結果、足をナイフで刺され
学園の外れにある小屋に閉じ込められていた…そうだね?」
勝ち誇ったような話し方をしている検察側に対して、ローラはため息を溢しながら腕を組んだ。
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