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審判の時 3
「全然違うな。レンしぃが俺を刺すわけがないだろう。友達だぞ?」
「な…ッ…!?」
「どうした?“聞いていた話と違う”か?
ここは嘘を付いてはいけない場所だ。そうだな?裁判長」
「…如何にも」
「ならば俺はありのまま“俺が実際に記憶している事”を真実として証言してやろう」
ローラがニタニタしながら話し始めると、ざわつきは大きくなり
裁判長は傍聴人達を静かにさせている。
「ヒェ〜!ローラ殿かっけぇ…!痺れる憧れるゥ!」
エカルティは何故か両手を組んでキラキラした目でローラを眺めている。
「事件のあった前の日、俺はレンしぃと街へ出ていた。
レンしぃはドラゴン保存協会の施設へ。俺は預言者協会に野暮用でな…まあこれはいい。
で、各々予想外に時間がかかり、学園に帰り着いた頃には21時を回っていた。
俺達が寮に向かってレンガの道を歩いていると…フードを目深く被った集団に待伏せされていた。5人くらいだったかな」
「な…、そ、それは本件とは…」
「証人、続けなさい」
「奴らはレンしぃを探しているようだった。
レンシアで間違いないな?とわざわざ確認をとって来たからなぁ。
で、俺は、学園内は部外者は立ち入り禁止のはずだ、と言ったが奴らは実に反魔法主義的な発言をした。
“魔法使いの決めた事に従う気はない”と……
そして有無を言わさず殴りかかってきた。
レンしぃは見ての通り非力なのですぐに伸され、俺も頭を殴られ気絶させられた。きっとまだ腫れているぞ?」
ローラの証言はレンシアも記憶している事だった。
寧ろ自分が記憶しているよりも鮮明だとレンシアは自分の裁判なのに他人事のように感心してしまうのだった。
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