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審判の時 4
「で、気が付くと俺は埃っぽい板張りの上に転がされていた。
両手足を縛られてな。
レンしぃも椅子に縛り付けられていた。
俺は空間の記憶を“読んで”、そこが学園の東棟裏の使われていない小屋だと気付いた。
老朽化しているんでな、普段人は寄り付かない。板の隙間から明るい日が差し込んでるくらいだ。
そこで俺はもう朝になっちまっていると気付いた。正確には昼だったようだがな。
俺たちが、誰か見つけてくれるといいね、みたいな話をしていると昨日の男達がドヤドヤ小屋に入って来て
レンしぃに“復讐を手伝ってやる”と言った。」
「復讐…ですか。それは本件の被害者の1人でもあるエルメーザ殿下に、婚約破棄をされた事ですかな?
被告人は“大天使の生まれ変わり”と嘘を吐いて次期皇帝婚約者に成り代わっていたが、それを見破られ反故にされた」
検察側は急に意気揚々と語り出したが、ローラは首を横に振った。
「知るか。“本件には関係のない事”だ。
いいか?レンしぃはこう言った。“ローラさんは無関係だ”と。
だが男達は“これは遊びではなく大義のある戦いだ”と言って聞く耳を持たず、一方的な“政治的思想”を熱く語っていた。
“皇帝家に盾をつき、魔法使いを殺すのが如何に正当な理由か”をな。
そしてレンしぃが抵抗する度に俺の腹を蹴り付けて来やがった。
で、奴らは小瓶を差し出して“即効性の猛毒だ、エルメーザに飲ませろ”と言ったんだ。」
「な……ッ!?」
「しょ、証人!間違いないのですかな!?」
「当たり前だ。俺が記憶を違えるわけないだろ。」
ローラは腕を組んでふんぞり返っており、傍聴席は再びざわめき始める。
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