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審判の時 5

「静粛に!…証人、それでどうなりましたか?」 「レンしぃは勿論抵抗していた。 “エルメーザさんを殺しても何の意味もない”と犯人達を諭すようにな。 それに“エルメーザさんにそんな小細工は通用しない”とも。 だが奴らは勿論“大義”のために必死だ。 “お前はやるだろう”と言って俺の首にナイフを当てた。 君ならどうするかね?友人がナイフを突き付けられていれば、やめてと言うだろ?」 「……」 「レンしぃもそうした。やめてお願いと泣き叫んだ。 だが奴らは、俺の足にナイフを突き立てやがった。思いっきり、な。 そして言った“頑張って耐えても1時間といったところか。 その前に死ぬ場合も大いにあるだろうな。 妙な動きをすればこのナイフを抜いてもっと死期を早めてもいい。こいつが人質として役立たずになれば今度はこっちを甚振ろうか?”と。 レンしぃが大切にしているドラゴンも一緒に捕まっていたからな。奴らは俺の次はドラゴンを傷付けるつもりだったようだ。 残念ながら俺の“記憶”はここまでだ。」 「…なるほど…どうやら検察側の意見とは食い違うようですが…?」 裁判長は検察側へと目を向ける。 「ローラたそぉ…要所要所に伏線を埋め込んだなんと完璧な証言…!推せるぅぅ…!」 エカルティは上の空である。

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