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審判の時 6
「ま…まず事件当日…不審者の情報は届いておりません…
それに君が発見されていた時には、小屋には君と檻に入ったドラゴンの姿しかなかったと理事長は証言しておりますが?」
「そんなの逃げたに決まっているだろう。
それに“学園内は部外者立ち入り禁止”。
それを犯そうとした時君は見つかるように堂々と行動するのかね?」
「う…、き…君は発見が遅ければ死んでいたくらいの出血多量だった…
昨日目が覚めたばかりだと聞いたよ。
“記憶が混同”している可能性だってあるのでは…?」
「ふむ。それなんだがな。なんと俺の中には“もう一つの記憶”がある」
「なんですと?」
「それは“見知らぬ金髪の男に刺された記憶”だ。
ここに紫のリボンがついている男だ。」
「な…!?!それは被告人のことではないのかね!?」
検察側はわざとらしく大きな声を出す。
「君はそう考えるのかね?」
「金色の髪に紫色のリボンをした生徒は被告人しかいないと思いますが?
今日もそのようですし」
「ふむ。だが知らん。言っただろう“見知らぬ”と。
つまりだ…この記憶は、“俺とレンしぃは知り合いではない世界線”のものだった。
同じクラスでご学友だと確認したのは君だろう?」
「う……」
「つまりこの記憶は“作られた”ものだ。
違法である記憶改竄魔法で、レンしぃが犯人だと植え付けられたというわけだな。
だが、俺は“記憶の魔法”は少々得意でな。
小屋に閉じ込められて目が覚めた時にやったように、自分の本当の記憶を呼び起こしたんだ」
「そ…それは本当に確かな記憶なのですか?
被告人に刺された記憶が本当で、見知らぬ男達というのが偽物なのでは!?」
「レンしぃは記憶改竄ができるほど記憶の魔法を持っていないはずだが?
それにさっきも言っただろ。俺とレンしぃが友達なのは学園内の大体の人間が知っているぞ」
検察側は、悔しそうに両手を握りしめている。
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