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審判の時 7
「なるほど…ローラ君、君の証言では
複数の男達が君と被告人を捕らえ、被告人を脅した挙句君を刺し…更に被告人が犯人であるかのように記憶を書き換えられた、というわけだな?」
「いえす。裁判長ー」
「ま…待ってください…、その男達と被告人が共謀していた可能性があるのではないでしょうか?
被告人はエルメーザ殿下の暗殺を男達と企て…
君の前で一芝居打ち、さも自分がやらされたように見せた…こうして君に…無実を証言してもらえるように!」
「…ふむ。面白い見解だが……何故わざわざ俺に“自分が犯人だ”と思わせるような記憶を仕込んだんだ?
わざわざ犯人ではないと芝居を打っておきながら、一方でわざわざ犯人ですというような記憶を捏造する理由は?」
「そ……それは……」
「ローラ君の証言に矛盾は感じられないように思いますなぁ…
では弁護人、反対尋問を」
裁判長に促され、エカルティは立ち上がった。
「ふーむ、矛盾はないと今仰られましたが…小生はですねぇ
少々の矛盾を感じておりますぞ?」
「なんだと…?」
エカルティの予想外の言葉に傍聴席も検察側も動揺しているようだった。
ローラは腕を組んだまま偉そうにしている。
「ローラた…ローラ殿、貴殿はハートン学園の1年生でありながら、その類稀なる予想の魔法と豊富な見識で“大予言者ノスティーラの生まれ変わり”とも言われ、預言者協会の最年少役員でいらっしゃる事は重々承知ではあるのですが
果たして本当にその記憶は正しいのですかな?」
「俺の証言に“おかしな点”があるとでも?」
ローラは何故かニヤリと笑いエカルティの方を睨んだ。
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