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僕らが守りたかったもの 1
「…レンシアた…被告人に瓶を渡した男は“即効性の猛毒”だと言った…あなたはそう言われましたな?」
「ああ。確かに聞いたからな」
「しかしですな、エルメーザ殿下の検査結果では
発見されたのは“睡眠薬”であり、“即効性の猛毒”では無かったようですが…?」
「何?そいつはおかしいなぁ…」
レンシアは2人が何かを企んでいるらしい事を感じ取ってしまい、思わず顔を上げてしまう。
「検察側、被告人が持っていた小瓶の成分は調べたんでしょうな?」
「も…勿論だ。確かに“睡眠薬”だった…
エルメーザ殿下の体内から見つかったものと同じだ。
超強力な即効性の睡眠薬だったようだが…あまり出回っていないというか…見たことの無いようなものだったな…」
「ふむ。しかしローラ殿は“確かに聞いた”と」
「ああ。即効性の猛毒を飲ませろ、と言っていた。渡した瓶も見たぞ?これくらいの小瓶で中身は透明の液体だった」
「どういう事だ…?」
「小生が思うに、ローラ殿を殺しても構わないというくらい殺意高めの連中が、猛毒と嘘をつく必要はないし睡眠薬などを用意する必要もない。
つまり、男達は本当に猛毒の瓶を被告人に渡していたのです。
しかぁし、実際エルメーザ殿下が飲んだのは睡眠薬だった……
この矛盾を解く答えは一つ…、“瓶の中身が途中ですり替わった”ということです!!
そしてすり替えることができたのは!被告人しかいない!!」
エカルティは机を叩きながら叫んだ。
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