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僕らが守りたかったもの 2
「すり替えた…?何故そんな事を?」
「そんなの決まりきっておりますぞ!
ズバリ、エルメーザ殿下に猛毒を飲ませるわけにはいかなかったから!
つまり被告人は、暗殺を企てる忌々しい連中の策謀を破ったのです!!」
「れ、レンしぃ…!お前って奴はまさか自分が悪者になってまでエルたんを救おうと…!?」
ローラの白々しい演技にエカルティが再び机を叩いた。
「その通り!!」
「ちょ、ちょっと待て…!
そもそも即効性の強力な睡眠薬など、まるで最初からそうなると分かっていないと用意できるはずがない!」
「そう!その通り!!被告人は、“用意できなかった”…だから使ったのです!」
「使った…?どういうことだ…?」
検察側はすっかりエカルティのペースに巻き込まれている。
「猛毒を受け取ったものの、当然エルメーザ殿下に飲ませるわけにはいかない…
しかし急がねばローラ殿達の命が危ない……
時間と選択に迫られた被告人は、小瓶を握り締めて使ったのですな。
“癒しの魔法”を…!」
エカルティは、決まった!というようにドヤ顔をしながら短い腕を組んだ。
何だか恥ずかしくなって来て、レンシアは俯きながら顔を赤らめてしまう。
「い…癒しの魔法…?」
「そう!!レンシアた…被告人は、選ばれし力である“癒しの魔法”の持ち主…
その魔法を使って、咄嗟に小瓶の中の猛毒を解毒したのでしょうな。
しかし…害の無い液体になったとはいえ、思いの外強力な猛毒の所為か眠らせる力だけが残った液体になってしまった。
つまりエルメーザ殿下が飲んだのは
“見たことの無い睡眠薬”ではなく、“猛毒が解毒された液体”というわけですな!!」
「な…何ィィィ!!!」
「おお。なんだか逆転しているみたいだなァ」
仕事を終えたローラはすっかり呑気に裁判を見物している。
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