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自分に誇れるように 4
「いいか?レンシアはこう言った。
“あなたを殺すように言われてきたが、俺が誰かを殺す事はできない”と。
そして怪しげな液体が入った紅茶を差し出して“飲んでください”と言った。
だから私は紅茶を飲み、眠った。以上だ」
エルメーザの酷く簡潔な証言に、法廷内はシーンと静まり返った。
彼が存在しているだけで法廷内の温度が2度くらい上昇したような気がして、誰しもが息を飲んでいる。
「え……ええっとつまり……
で、殿下は、異物の入った飲み物を…自らの意思で飲んだ、と言いたいのですかな…?」
勇者すぎるエカルティの質問にエルメーザは頷いた。
「そうだ。」
彼は腕を組んで仁王立ちしている。
「な…、何を馬鹿な…!
殿下の証言が正しければ…!怪しげな液体が入っているとわかっていながら飲んだ事になります!!」
「そう言っているだろう。
何か入っているなと思ったが、レンシアは教えてくれなかった。
“言ったら怒る”と言われた。だから聞かずに飲んだ。」
「は…はァ……?」
エルメーザのめちゃくちゃな証言に、全ての人間が動揺している。
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