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一緒に帰ろう 1
一体何が起きたというのだろう。
何だかふわふわとして、やっぱり、ずっと夢の中にいるみたい。
レンシアは釈放され、ふらふらと留置所の出口から外へ出て夕暮れ時の空をぼうっと眺めた。
その美しい景色は、大騒ぎだった裁判と同じ日だとは思えないくらいだった。
何だかずっとずっと、遠い日の出来事だったみたいで。
「…レンシアさん……!!!」
『れんしあーー!!』
ずっと聴きたかった声が聞こえてきて、レンシアはそちらへと顔を向けた。
留置所の門の所から背の高い男とドラゴンが走ってくる。
「イオンさん…、ジンシーバさん……っ」
レンシアは階段を駆け降り、彼らに向かって走り
両手を広げてくれているイオンの胸へと飛び込んだ。
彼の腕に強く抱き締められると、涙が溢れ出してくる。
「…ひゃ…150年はさすがに長すぎるよ……」
イオンは情けない声で呟いている。
ジンシーバが足にしがみ付いてよじ登ってこようとしているので、2人は一緒になって地面にしゃがみ込みドラゴンを間にして再び抱き合った。
「……応援するって言ったけどさぁ……
…やっぱり…レンシアさんのいない人生なんて考えられないって…」
イオンの言葉には、レンシアは自分だって本当はそうだったと実感し始めてしまう。
だけどそれを自覚してしまったら、とてもじゃないけど耐えられなさそうだったから。
今彼の腕の中にいる事が奇跡みたいに思えて、レンシアは頷いたが何も言えなくなってただただ彼等にくっついてその香りに包まれて、体温を感じて居た。
『れんしあ…とおく…いやだ…』
ジンシーバの小さな声が聞こえてくる。
『ちかく…いたい……』
その訴えにはますます涙が出てきてしまって、レンシアは泣きながら頷いた。
「うん…ごめんね……」
抱き締められながらも、そこに確かにある幸せに浸っていた。
もう2度と会えないかもしれないと覚悟した。
だけど今そんな彼等とこうして抱き合えていることが、幸せで、幸せで。
もう何も要らないくらい。
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