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一緒に帰ろう 3
「あ、いたいた。おい急げ」
「そんなに元気なら自分で歩けるのではないかねぇ…」
「歩けるわけねえだろ。こちとら死にかけとんやぞ」
「死を振り翳さないでよ…」
向こうからローラを背負っている理事長が歩いてきて、彼の上等そうなスーツはよれよれになっている。
「レンしぃ!ごき〜」
ローラは理事長の背中に乗ったままニヤニヤと笑っている。
「ごき〜…」
レンシアは返しながらもまた泣きそうになって、眉根を寄せながらも無理矢理笑った。
「ひひ。礼には及ばんぞレンしぃ。お前には貸しがあるからな」
「借りてる人の態度やん…」
「すまなかったねレンシアくん…、
学園内でテロに加担させられそうになったなんて…おそらく学園内にも共謀者が…痛!」
「今は辛気臭い話は無しだぞぉ?午前中まで極刑の予定だった男が何と無罪放免!こんなに愉快な事はない。
申し訳ないと思うなら飯でも奢ることだな」
「この後に及んでまだたかる気かい…?」
「え!理事長なんか奢ってくれるん?」
「じ…自分やっと食事が喉を通りそうです…」
「俺も…。」
『おれも!!!』
「えー…?もう…じゃあ今日のハンバーグ1人1枚ずつ追加するよう食堂のシェフに言っとくよ……」
「やった」
「生徒にこき使われているイケメン理事長…!?
ハートン学園界隈推せる…ゥ!」
「ざ…雑食すぎませんかね…エカルティ殿…」
いつも通りのわちゃわちゃっとした会話が繰り広げられていて、レンシアはここにいたいと強く思ってしまっていた。
そしてそうやっていつもいつも感じていた事を思い出すのだ。
「よーし!じゃあ帰ろか〜」
「腹減ったしなぁ…」
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