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おかえり 1

翌朝の新聞や学園内の生徒達の目線、そして恐らく社会全体のレンシアへの掌返しと来たら呆れてものも言えないくらいだった。 昨日までは反逆者だの世紀の大犯罪者だのと騒ぎ立てていた新聞は、レンシアの正義の行いを賞賛するとともに 事件の裏側に潜んでいたテロ組織への強い非難をデカデカと掲げているようだった。 だけど本人はさほど気にしていないようだったし イオンもそんな事よりも、とにかく隣にレンシアが存在している事がどれだけの奇跡なのだろうと毎秒思い知る事に必死で 彼が朝の支度をしている間もつい後を追ってしまって 「もう…どこにも行かないったら」 とちょっと呆れたように微笑まれたりするのが、本当に幸せすぎてどうにかなってしまいそうだった。 レンシアと離れて以来どこかぐったりとしていたジンシーバも元気を取り戻して、いつも通り綺麗にリボンを結んでもらうと はしゃいでいるのかイオンの足に激突してきたりして元のヤンチャ坊主に戻りつつあった。 食堂へ行くと元祖村八分席にはいつメンが揃っていたが、イオン達が近付くと真っ先にリウムが立ち上がった。 「…先輩っ…!」 リウムは泣き出しそうな顔で駆け寄ってくると、レンシアに抱き着いている。 「リウムさん…、昨日は、ありがとうございました…」 「何言ってるの…!あんな不当な裁判もっと怒っていいって…!」 彼は怒ったようにレンシアを睨んで頬を膨らませている。 昨日は結構血気迫るものがあったが今はあんまり怖くないいつものリウムのようにも見えた。 「エルメーザさんは大丈夫でしたか…?」 「ローザレック様に呼び出されて皇帝家に戻ってるよ… まあ大丈夫でしょ…」 「本当に大丈夫なのかそれ…」 裁判に乗り込んで注目を掻っ攫ったエルメーザはもしかすると親御さんに怒られているのかもしれない。 「でもエルメーザの証言は嘘じゃなかったでしょ?」 「そう…ですが……」 イオンは禁錮150年が衝撃すぎてあまり内容は覚えていなかったが、確かエルメーザはめちゃくちゃな事を言っていた気がする。 睡眠の質がどうとか。

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