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おかえり 4
「でもさ、テロ組織に狙われるなんて…これからも気を付けんとあかんよ?レンシー」
「ほ、本当ですよ…!今後夜道は歩かないで頂きたいものです…!」
「そうですね…、でも本当に狙われたのはエルメーザさんですから…俺は利用されただけといいますか…」
エルメーザはイオン達にとっては最早ただの友達だったが、
次期皇帝はやはり様々な人間に命を狙われるような存在なのだろう。
「リウムも気ぃ付けや?」
「僕は全然へーき。先輩達みたく弱っちくないもん」
「そういう問題とちゃうって…」
「れ…レンシア様は弱っちぃのではなくお優しいんですぅ…」
リウムは机に頬杖をつきながらも口を尖らせている。
誰も傷付けたくないというレンシアとは違ってリウムは容赦なくボコボコにしそうである。
「今回は…エルメーザさんが信じてくださったおかげでどうにかなりましたが…
本来あってはならないことだとは分かって居ます…」
「…エルメーザくん、毒ってわかって飲んだみたいなこと言っとったよな…」
イヴィトは苦笑しており、曖昧な記憶はどうやら正しそうだとイオンは思うのだった。
「レンシアさんだから信じたんだと思うよ」
「そのとーり。エルメーザは全面的に先輩が正しいって本当は思ってるんだよ?
ただ自分の気持ちを顔と言葉に出すのが苦手なだけ」
「おお…婚約者っぽい言葉…」
「それレンシーが言う?」
レンシアはすっかり婚約者だった事など忘れて他人事のような顔をしている。
「涙目でお願いしたら無茶なことでも意外と聞いてくれるんだからー」
「…ふふ。そのようですね。皇帝としてあるまじき事です」
「……まぁ…やっぱり返してって言われてもそれは無理だけどぉ…」
「いえ結構です。死んでもそれだけは」
「し、死んでも…?」
「え…エルメーザ殿下はでも…一応ランキングは1位で…」
「本当に無理」
真顔で辛辣に言っているレンシアにリウムは、うけるー、と言いながら何故か爆笑している。
一応1人の男が間に入っているんだよなと思うと複雑だったが、レンシアにじろっと見られてしまいイオンは首を傾けた。
「えっと……俺もレンシアさんにお願いされたら何でも飲みます…よ?」
「どういう張り合い方?」
「…イオンさんにはちゃんと教えますもん……」
「や、やったー…?」
「……もう…」
レンシアは何故か目を逸らして食事を口に運び始めてしまった。
何か怒らせてしまっただろうかとハラハラするが、リウムはこちらに背を向けて肩を震わせているしイヴィトは何故か天を仰いでいる。
「こ…これはツンデレというやつでは…っ!?!あ、ありがてぇ…!?」
「いや…いいけどな?戻ってきたな〜思うし…」
「くく……っ……うける…」
何故か分からないがヴェネッタ以外には迷惑がられて居そうだったが、昨日危うく150年離れ離れになる所だったので今日くらい見守って欲しいなぁと思うイオンであった。
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