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おかえり 6

「…お仕事は良いのですか?」 「あー、イヴィトとヴェネッタ先輩が色々やってくれてて… 2人には頭が上がらないっていうか…」 「本当ですね…、俺も沢山助けられています」 2人で並んで歩きながら、いつもみたいに雑談をする。 ただそれだけなのに幸せで。 イオンだって本当は忙しいのにわざわざ迎えに来てくれたのだろう、と思うと嬉しくて泣いてしまいそうになってレンシアはドラゴンをぎゅうっと抱き締めた。 「……イオンさん…ありがとう……俺のこと、信じてくださって…」 「何を言っているんですか!当たり前でしょ」 彼の態度からそんな事は分かりきっていたけど、そうやって改めて口にされるとますます嬉しくて 本当に本当に、大切な人だと思えてならなくて。 「…ま、まだ……好きで居てくださって…」 運命に翻弄されていたとはいえ、 あの時、例え捕まってしまってもというのは自分で決めた事だ。 結果的に彼を置いていくような選択で、傷付けてしまっていてもおかしくはない。 レンシアはつい足を止めて俯いた。 「……レンシアさんが…どうにもならない状況でも2人を助けようとして… ……2人だけじゃなくて、反魔法主義の人達も…本当は、助けようとしたんでしょ?」 「……」 「レンシアさんだったら、俺だけじゃなくてもっと色んな人に助けを求められたはずなのに… わざわざ理事長に知らせるようにっていうのも…逃げるための時間稼ぎしてたんじゃない?」 イオンの言葉に、レンシアは小さく吐き出すように笑った。

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