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一緒に選んで 1
「……イオンさんと…一緒にいられて嬉しい……」
胸に顔を近付けていると、とくとくとイオンの心臓の音が聞こえてきて
今この瞬間間違いなくここに一緒にいられているのだと実感出来る。
レンシアがなんだか胸がいっぱいになって幸せを噛み締めていると、彼の手が頭を撫でてくれて、それがすごくすごく心地よかった。
ずっとこうしていたい。
そんな風に思うくらいには。
「……レンシアさん…」
「…んー…?」
「………俺は…、俺はね…1回…死んだんです」
「え……?」
急に言われた言葉に目を開いて、レンシアは彼を見上げた。
「リチャーデルクス・イオンの前に…別の人間だったんです。
魔法は無かったけど…ここよりもっと便利な世界で…
だけど俺は大事な友達もいなくて、恋人なんて一回も出来たことなくて…高ストレスな状態で働き過ぎて治らない病気にかかって……」
イオンの言葉に、レンシアは以前、今にも死にそうな見知らぬ男を見た事を思い出していた。
“死”の感覚が、見えたことを。
「…俺はその人生も自分なりに頑張っていたとは思っていたけど…
死ぬ前にやっぱり後悔したんです。
…こんな事になるくらいなら、例えそれが原因で最悪の事になったとしても…気持ちを伝えてみればよかったかなって。
友達になってとか、好きです…とかね
……だからって生まれ変わってもすぐにはそう出来なかったけど…」
イオンは苦笑しながらも、レンシアを見下ろしてぎゅっと抱き締めてくれた。
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