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それでも、付き纏う事 1
極刑かもしくは禁錮150年を言い付けられそうになっていたのが嘘みたいに、レンシアはまた穏やかな日々に戻っていた。
少しずつ気候は寒さへと傾いていって、気が付けば半年毎のテストももうすぐというくらい時が経ってしまっていた。
婚約破棄されてから半年が、この学園に来てから一年が経とうとしているのかと思うと、
長かったような短かったような、といった感覚でレンシアにとってはなんだか不思議だった。
学園に来たばかりの頃は、とにかく毎日緊張していて
エルメーザに追いつかなければとか次期皇帝の婚約者として相応しくあらねばとか
“大天使の生まれ変わり”として振る舞わなければと必死だった。
それらの全てがあっという間に奪われていって、あの時あったはずのものはもう何も残っていないはずなのに今はもう何も要らないとさえ思える。
これが無くなれば自分は自分ではなくなると思っていたものなんて、別になくたって何も困りはしないものだった。
本当に大事なものは、必死にしがみついていなくたって
自然と近くに来て寄り添ってくれるから。
それらを愛でて大切にして、
一緒にいられる時まで精一杯過ごせたら、もう何も要らないのだ。
レンシアはそんな気分で、毎日過ごしていた。
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