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それでも、付き纏う事 2
客人が来ていると言われ、面談室という名の普段はあまり使われていない空き部屋へと向かったレンシアは
その先で待っていた男の姿に思わず入り口で立ち止まってしまう。
それは以前もレンシアの元へやって来た、皇帝家付きの上級魔法使いだった。
「色々と大変だったようだな。
早速望みが叶ったと、君を禁錮刑にするようにと言い伝えておいたんだがな」
ソファで長い足を組んで座っている男は恐ろしい事を言っている。
求刑は極刑だったが、もしかすると初めから禁錮150年に確定していたのだろうか。
「……俺を…捕まえに来たのですか…?」
「まさか。あの事件はこちらとしても不本意だった。
…まあかけたまえ」
男は涼しい顔をしており、レンシアは仕方なく彼の向かい側の椅子に腰を下ろした。
ドラゴンは、ぐぅ、と変な鳴き声をあげながらフードの中に入っていってしまった。
自分が緊張している所為かもしれない、と思うとドラゴンに申し訳なくなってレンシアは心を穏やかに出来るよう静かに息を吐き出した。
「…君の事件以来エルメーザ殿下とローザレック様は少々対立気味だ。
ローザレック様は今まで言いなりだった可愛い甥っ子の反抗期で苛立っておられる。」
エルメーザはやはり自分の判断で乗り込んで来てくれたのだろう。
学園内で顔を合わせても、エルメーザはいつも通りに邪険にするでもなく、かといって友好的に雑談をけしかけられるわけでもなく
なんとなく気まずそうにされるくらいだったが、イオン達と一緒に普通に昼食をご一緒する事もあったし最早ただの同級生の1人になっていた。
「……俺の所為…ですよね…」
「さぁな。エルメーザ殿下にも自我が芽生えて来たという事だろう。
得体の知れない婚約者殿のよからぬ思惑も入っていそうだがな」
彼の言葉にはなんと返せばいいかわからず、レンシアは俯いてしまう。
リウムの事に関しては相変わらずよく分からないのである。
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