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それでも、付き纏う事 8
「もう…そんな相手が…?
エルメーザ様といい…今時の若者の性の乱れときたら呆れ果てる…」
「い、一緒にしないでください…」
皇帝家侮辱罪に値しそうな発言をお互いにしながらも、レンシアはちょっとだけ恥ずかしくなって口を尖らせた。
「恋愛は自由だが…立場を少しは考えたまえよ?
変な輩じゃないだろうな…?」
「お父さんみたいなこと言わないでください…」
変な輩かどうかで言えばこれ以上ないというくらい申し分ない相手なのかもしれないけど、なんとなく面白くなくてレンシアは言わないでおいた。
クレンはため息を溢しながらも、分かったよ、と言って立ち上がった。
「君の動向は常に私の耳に入るようになっている。
国営に支障の出る事であれば口を出すぞ。あくまで国の為だ。
君の力はそれほどのものだと自覚したまえ」
「……分かりましたぁ…」
「…だが…、皇帝家付きにもスパイが潜り込んでおり…
君が巻き込まれたのはこちら側の過失だ
皇帝家との柵を意識するあまり、君への配慮が疎かだった事は詫びよう」
「クレンさん…」
やっぱり、彼は悪い人ではない気がしてレンシアはじっと見つめてしまう。
クレンは相変わらず無愛想にこちらを睨んでおり、全然詫びの態度では無かったけど
彼なりに気遣ってくれているのかもしれない。
「君には引き続き無邪気に勉学を励んでもらいたい。
私は“大人”の仕事に戻るとしよう。
魔法使いも…そうでない国民も“同じように”過ごせるようにな」
彼は堅くて冷たい印象を纏っているけど、平穏を望んでいる点においては同じなのだろう。
レンシアは微笑みながら頷いた。
自分に出来ることはそう多くないかもしれない。
だけど、考える方法を教えてもらったから。
いつか、そう出来るようになりたい。
無力を嘆くよりも先に、どうしたら望むように出来るかを考えられるような。
あの人みたいに。
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