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夢は叶うもの 1

ドラゴンは小さな翼を広げて懸命に羽ばたいているけど、よちよちと低空飛行になっていてやがてベシャリと地面に落ちてしまった。 「ふむ。なかなか筋がいいと思うぞ?」 『ええ!とってもお上手ですわ!』 何をやっても褒めてくれるサヴァトーラと相棒のドラゴンに最近はジンシーバの飛行訓練を教えてもらっているレンシアだった。 今日もその一環として、学校の広場を借りて実践を試みているのである。 「ドラゴンは時々驚くべきスピードで成長する。 そんな時に上手く飛べないと大事故になる可能性がある 翼の動かし方一つで建物が吹っ飛ぶ場合もあるからね」 恐ろしい事を言っているサヴァトーラに、ジンシーバが風車くらい大きくなったらどうしようと思ってしまうレンシアだった。 「飛行速度も大事だ。遅過ぎてもいけないし早過ぎてもいけない 絶妙なバランスというものが大事だぞ!」 『むつかしい…』 サヴァトーラの指導にジンシーバは地面に座り込んだまま首を捻っている。 「ふふ。サヴァトーラ先輩、優しいよね。卒業間近なのに指導してくれてさ 俺朝5時くらいに部屋に突撃したのに話聞いてくれて…」 そりゃモテるよね、と隣で見ていたイオンがのんびりと呟いた。 どうやら彼は、レンシアと離れ離れになった事により不調だったジンシーバの事をサヴァトーラに聞きに行ったりしてくれたらしい。 あの時はレンシアもとんでもなく身体が重たかったのだが、それは精神的な事だけでなく物理的にドラゴンと離れてしまっていた弊害なのかもしれない。 「…サヴァトーラさんがいなくなっても…俺1人で上手くやれるでしょうか…」 卒業後はドラゴンの生息地などを主に回り魔法生物達と人間達との間に立つような仕事をするのだというサヴァトーラは、 そうなればあまり会えなくなるからと最近はよく時間を取ってくれていた。 これからどんどん身体が大きくなるかもしれないジンシーバをちゃんと育てられるようになれればいいけどと不安に思ってしまう。

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