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夢は叶うもの 4
「今は私が支えているので落ちることはないがパニックになって手を離したり、しがみつき過ぎてもいけないぞ。
ドラゴンを信頼して身を任せるんだ」
「う…はい……」
心臓がかなりドキドキしてきて、緊張して背筋が伸びてしないながらもレンシアはネルシャの首に抱き付いた。
ネルシャの身体はジンシーバと似たような感触のようで、彼女の方が少し堅い気もした。
だけど落ち着いた優雅な雰囲気が伝わってくる。
『れんしあ!おれもいく!』
「ジンシーバさん…わっ」
レンシアとネルシャの間にジンシーバも飛び込んできてしまった。
『では行きますわよ〜!』
ネルシャがそう言うと、途端にあたりに風が舞い始めふわりと身体が浮くような感覚があった。
次の瞬間地面が離れていって、ネルシャの身体はしなるように動いて長い胴体で円を描くようにしている。
レンシアはジンシーバが落ちてしまわないかハラハラしながらも言われた通りに手を離さないように、それでもしがみつき過ぎないように努力した。
「うん。まずまずだ、もう少し肩の力を抜け」
「…は…はい…」
そう言われてもなかなかに難しい事だったが、気が付くと地面がかなり遠くなっていて
イオンの姿が小さく見えた。
「えぇ…!?と、飛んでる…!?」
「下を見るな、進行方向を見ろ!」
「は、はい!!」
怒られながらレンシアはネルシャの頭が向いている方に顔を向けた。
地上よりもずっと澄んだ空気、遠くの街や森がおもちゃみたいに小さく見えた。
青い空が一面に広がっていて、ちょっと冷たい風を浴びながらレンシア達は空の真ん中に浮かんでいた。
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