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夢は叶うもの 5

「…すごい……」 『たかい!!』 その美しい景色にレンシアは釘付けになっていた。 行く手を遮るものは何もなくて、ネルシャは自由に空を泳ぎ始める。 『あ〜最高ですわ〜〜』 「ネルシャあのぐるぐるのやつするなよ…」 『もちろん我慢しますわ!』 ネルシャはそう言いながらも優雅に空を漂って、暫くするとまた同じように円を描くようにして地面へと近付いていき やがて地上へと降り立った。 戻ってきてもレンシアは少々放心状態だった。 「なかなか筋が良いじゃないか。 中にはパニックになって気絶する奴もいるからな…」 『ええ!もうひとランデブー行きたいくらいですわ!』 ネルシャはちょっと興奮気味に尻尾を振っている。 レンシアはジンシーバを抱えながら地面に降り立ち、はぁ、と息を吐き出した。 「あ…ありがとうございます…ネルシャさん…サヴァトーラさん…」 「うん。ジンくんは翼があるから、乗る場所は考えた方がいいだろうな」 今はまだ乗ったら踏み潰してしまいそうなジンシーバを眺めて この背中の辺りかな?とサヴァトーラは考察し始める。 「レンシアさん!」 イオンが駆け寄ってきて、笑顔を浮かべている。 「すごい!センチヒみたいでした…!」 「イオンさん…」 『イオン様も乗ってみますぅ?』 「え、いや俺は…高所恐怖症なので……」 「おいおい…ここはドラゴンライド屋さんじゃないんだぞ…」 レンシアは先ほどまでいたはずの空を見上げた。 あんなに遠くまで行っていたなんて信じられない事だけど、確かに体験できたのだ。

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