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でかい実家に帰ろう 4
気を利かせて2人きりにしてくれたので、イオンも暖炉の前に行って近くのソファに腰を下ろした。
「寒いのが苦手なのかもね…」
「そうかもしれませんね…、ごめんなさいイオンさん…
皆さんを怖がらせてしまったでしょうか?」
「いやー…全然大丈夫と思うよ。みんなにこにこしてたし」
ドラゴンが来ているかは分からなかったが、幻獣生物は山には結構来ているようで
ここで長く暮らしている使用人達は不思議生物は見慣れているかもしれない。
レンシアは少しホッとしたように胸を撫で下ろして、イオンの隣に腰を下ろした。
「ありがとね、レンシアさん。こんな遠くまで着いて来てくれて」
「…そんな…お礼を言うのは俺の方です。
俺を…お屋敷に連れて来てくださって…
ご、ご両親にもご挨拶させて頂けるなんて…」
イオンはレンシアと一応婚約した事になり、さすがに家柄的にも親には話を通しておくかと報告をしたのだった。
すると次の長期休みには絶対連れて来いと念を押されてしまい、イオンは仕方なくレンシアを連れて遥々戻って来た次第だった。
レンシアは道中、怒られないだろうか、嫌がられないだろうか、とずっと心配していて
一応十家という立場もあるから無理も無いのかもしれない。
それに彼はこの1年間何かと世間を騒がせていたので、実際の所リチャーデルクス侯爵が何を考えているかはイオンも分かっているわけではなかった。
怒られるとかダメだと言われる可能性も0では無かったが、そうなっても押し通そうと覚悟はしていた。
だけど、多分ではあるが、
侯爵の人柄を考えるとあんまりそんな事にはならないような気がしているイオンだった。
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