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父たち 3
イオンは、ハッとなって振り返った。
レンシアが気まずそうにそわそわと立っていて、慌てて彼に駆け寄り2人の前に連れていく。
「えっと!紹介します、レンシアさんです!」
「初めまして…レンシアと申します。
お目にかかれて光栄です、リチャーデルクス侯爵バッハ様、フィヲ様…」
レンシアはあんなに緊張していたのに、優雅に頭を下げ礼儀正しく挨拶をしており
さすがだなと思ってしまうイオンだった。
侯爵も、ほう!と顎を撫でながら声を溢している。
「君がレンシアくんか!」
「初めまして、イオンの父のフィヲです。
こんな遠くまで、わざわざ呼びつけてすまなかったね…
でも会えて嬉しいよ」
フィヲは愛想良く微笑んでいるが、侯爵は何故かニヤニヤしながらレンシアを観察するように眺めている。
「君の事は新聞や社交界でもよく耳にしていたよ。
殿下を除けば学年首席で、癒しの魔法は歴代最高数値なみ…ドラゴンを連れ歩き…
“大天使の生まれ変わり”とも言われていたが…、それが偽りという事になり…次期皇帝との婚約を剥奪され…
次期皇帝暗殺未遂で危うく禁錮150年…」
侯爵はつらつらとレンシアについて回っている負の出来事を話し始め、レンシアはやや俯きながらも黙っている。
少し震えているようでもあった。
「いやー!実に豪胆な事だなぁ!!はっはっは!!」
「え……」
「そんな大物を落とすとはさすが我が息子だ!
危険であればあるほど燃えるのは血筋か!?」
「何言ってんだかこの人は…」
侯爵は何故か大爆笑しながらもイオンの肩をバシバシと叩いてくる。
力が強すぎて痛かったが、多分嫌味とかではなく本心なのだろう。
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