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もう充分 9

「…っ…はぁ…」 ぽたぽたと眼からは涙が溢れていて、ようやく何かから口を離すと唾液が糸を引いている。 顔を上げるとイオンにすぐに口付けて貰えた。 そして額にも、ちゅ、と口付けられると幸せがじわっと内側から溢れてくるみたいでレンシアはぼやけた視界の中彼を見つめた。 「やべ…俺酔った勢いでとんでもない事を…」 イオンは何故かため息を溢しながら、離れようとするので レンシアは彼の腰に足を巻き付けて引き寄せた。 「ちょっと…こら、レンシアさん…」 「…うう…いや…」 「いや…って…普通は始まる時に言うやつじゃ…」 イオンは足を引き剥がそうとしてくるが、レンシアはソファから落ちそうになりながらも彼を見つめて腰を揺らしてしまう。 「もっかい…して……」 「…ほ…ほぇえ……?」 「だめ……?」 唇に指を添わせながらじっと見つめると、イオンは目を見開いていたが やがて首を横に振ってくる。 流石にわがままだっただろうかとレンシアは、はぁ、と息を吐き出して濡れていた頬を手の甲で拭い足の力を抜いた。 イオンに腕を引っ張られて身体を起こすと、彼は顔を近付けてくる。 「ベッド……!ベッド行きましょう……!」 そんな風に言われるとは思っていなかったので、一瞬驚いてしまったけど レンシアはくすくす笑いながらも彼の頬に触れて、軽く口付けた。 「ふふ。うん…っ」

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