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独りじゃないから 1
この世界へやってきてから初めてくらいに酒を飲んでしまって、イオンは寝起きと共にちょっとした頭痛を感じていた。
ブラック企業時代も付き合いとかで飲んだくれる事はよくあったけど、
あんまり気持ちよく酔えた試しがなかった。
プライベートで飲む時も色んなことが嫌になってヤケ酒を飲むとかそんなことばかりしていたし。
イオンも井小田と同じく別に酒が特別強いというわけではなさそうだったが、両親は2人とも酒豪のようでその遺伝子を少しくらいは受け継いでいるらしく
思ったよりも二日酔いも酷くなさそうで、イオンは鏡の中の自分を見つめた。
侯爵がレンシアのグラスになみなみと継いだ酒を肩代わりした時は死を覚悟したけど、思いの外スッキリとした顔をしている。
肩の辺りにくっきりと歯形が残っているのを見つけると、ついにへらと笑ってしまう。
最近気付いた事だけど、レンシアはちょっと噛み癖があるらしい。
普段は凛として上品で、近寄り難いくらいの高貴なオーラを発しているのに、積極的で乱れている様とのギャップには毎回鼻血が出そうな思いである。
綺麗な顔や身体や、色気だけに惹かれたわけではないけど
好きな人が美人でえちえちなんて最高以外の何物でもないのではと
イオンはつい気色の悪い笑顔を浮かべてしまうのだった。
部屋に備え付けてあるシャワールームから出てベッドに戻ると、レンシアはまだ眠っていた。
カーテンの隙間から差し込む光に金色の髪を輝かせながら、横を向いてちょっと丸くなるような体勢になっていて
最早何をしていても可愛いなぁと浮かれた脳でつい観察してしまうのだった。
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