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独りじゃないから 2

こんな人と結婚が出来るなんて夢にも思っていなかった。 もうこうなってくると井小田は信じてくれないかもしれない。 イオンだってまだ若干夢かもしれないと思っているくらいだったから。 レンシアの複雑な立場と過去を若干懸念していたけど、両親もどうやら喜んでいてくれていたようだったし 婚約だって思っていたよりも肯定的だったから。 井小田は親孝行どころか、先に死ぬという最悪の親不孝をしてしまったけど この世界ではもしかすると、孫の顔を見せてやれるなんてことが起こるかもしれない。 まだ全然実感はないけど、 本当に、井小田がやり残したことを全部叶えてくれそうなレンシアには頭が上がらない思いだった。 「…ありがとう……レンシアさん…」 イオンは彼の頭を撫でながら、なんだか感極まって泣きそうになってしまうのだった。 するととことことベッドの上をドラゴンが歩いてきた。 「…おはよう…ジンシーバ…」 『…さむい…』 「あー…そっかそっか…ごめんな…」 ドラゴンはやっぱり寒いのが苦手らしく、イオンは部屋にあった暖炉に向かった。 火が少し弱くなっているみたいだった。 「えーと……」 イオンは唸りながらも片手を暖炉に翳した。 すると小さな火が溢れてくるので、それを暖炉の中の木に燃え移らせる。 上位能力ではないとはいえ少々は炎の魔法も授かっているらしく、これくらいの魔法は一応使えるイオンだった。 薪を焚べながらもそれを繰り返すと、暖炉の火は大きくなってきて ドラゴンはすぐさま暖炉の前に駆け寄ってきた。 「よし…。エアコンとかあったらいいんだけどなぁ…」 イオンは苦笑しながらもすっ飛んできたドラゴンを膝の上に乗せてやり一緒に暖炉に当たった。 「……ジンシーバもありがとうな…」 膝の上に丸まっているドラゴンを撫でながら、彼にもお礼を言っておいた。

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