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独りじゃないから 4

「身体…平気?」 「ええ、ちょっと変な感じするけど…」 そんな事を言われると少々申し訳なくなってしまい、イオンはせめて、とレンシアの身体を撫でるのだった。 「わぁ…すごい雪…!」 レンシアは、開いていたカーテンの向こうの景色に目を輝かせて少し身体を起こした。 窓越しに山々の風景が見渡せて、今は季節的に一面銀世界になっている。 今日は良い天気なので真っ白な世界は初期設定のデスクトップ画面みたいな絶景になっている。 「こんなにたくさんの雪を見たのは初めてです…!」 レンシアはベッドから降りて行って窓に近付き、その景色に夢中になっているようだった。 「暖かい季節だったらもっと緑が綺麗なんすけどねぇ…」 学園のある街では、寒くても雪はあんまり降らないし レンシアが居たであろう王都もそうなのかもしれない。 「すごく素敵なところですね」 夢中で窓の外を見ているレンシアの無邪気な笑顔が可愛すぎて、イオンは彼に吸い寄せられるように近付いていってしまい一緒に窓の外を眺めた。 「サヴァトーラさんが…ドラゴンを自由に飛ばせる時は山奥がいいって仰っていたのですよ。 ここならジンシーバさんが凄く大きくなっても飛べるかもしれませんね」 見渡す限り一応リチャーデルクス家の敷地らしいので、ドラゴンが飛び回っても確かに問題はないかもしれない。 「こんな山奥で…周りなんもないけど…平気?」 卒業して結婚したら、レンシアもここに住む事になるのだろう。 不便な所で申し訳ないなと思いつつもレンシアの顔を覗き込むと、彼は朝日に紫色の瞳を煌めかせながらイオンを見上げてくる。 「…あなたとなら、どこでも…」 「本当にぃ…?」 イオンが苦笑してしまうと、レンシアは少し頬を赤らめながら頷いた。

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